ガリアを制圧したカエサルは、軍の即時解散と帰国を命ずる元老院の最終勧告を突きつけられ、国賊と呼ばれるのを覚悟でルビコン河を渡った。その勢いのままかつての盟友ポンペイウスを制し、イタリア半島、ついで地中海のほぼ全域を掌握。迫りくる暗殺を予知したかのように、新秩序樹立のためにあらゆることを為しとげたカエサル。彼のみた帝政という理想——、その真の姿を描き出す意欲作。

カエサルの「3月15日」―人間を、歴史を動かした男の全貌。世界の運命を一身に凝縮させてルビコン川を渡ったカエサルは、たった五年間であらゆることをやり遂げた。地中海の東西南北、広大な地域を駆けめぐり、全ての戦いに勝ち、クレオパトラにも出会った。ついにはローマ国家改造の全改革をなし遂げて、元老院・共和政に幕を引く―。読みだしたらやめられない面白さ、迫真の筆致で描かれるコスモポリス(世界国家)を目指した男の物語。

 ・ amazon : 5. ユリウス・カエサル ルビコン以後(1996)